ROWANに初めて出会ったのは10年ほど前。その頃は、私にとって編み物は、まだ仕事ではありませんでした。当時私が暮らす福岡には、ROWANを置いている毛糸店がなかったので、オンラインで見つけたイギリスのショップを利用していました。注文すると割と早く送ってくださるので、とても重宝していましたが、商品の画像が鮮明ではなく(笑)、果たしてイメージ通りの糸が届くのか、毎回不安を抱えつつの買い物でした。でもさすがROWAN、毎回質の高い素敵な糸が届くので、すっかりファンになったのです。私はさらに編み物にのめり込み、その後編み物で食べていくことを決めて、今に至りますが、今回まさかデザイナーとして、大好きなROWANの糸との新しい出会いの場をいただくなんて、人生は何が起こるかわからないなあ、とつくづく思います。
今回の本で目指したのは、編んでくださるみなさんに、ROWANの魅力を新たに「発見」していただきたい、ということでした。モヘアへの苦手意識やツイード糸の古風なイメージに変化を起こせたら、いち、ROWANファンとしても、とても嬉しいことだと思ったのです。 そんな気持ちで約半年間、デザインの制作に没頭しましたが、さてどのくらい目標が達成できたでしょうか。これはこれから編んでくださるみなさんの感想を、待つことにします(どきどき)。
撮影の日、モヘアの靴下が散らばるカラフルなベッドルームに、モデルのジェスが目を輝かせ、無邪気にはしゃいでくれたので、私たちスタッフも盛り上がって、とても楽しい現場になりました。ジェスとモヘア糸がつくってくれた、カラフルでハッピーなモヘアの世界に、読者のみなさんも一緒にわくわくしてくださり、モヘアを編んでみたくなってくださったらいいなあと思います。新しい本が、みなさまとROWANとの出会いをつくるきっかけになれば、とてもとても、うれしいです。